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下にスライドして行って、見てくださいね。

CB機 ELBEX VEEP の28MHz改造

以前から、「 1クリスタルPLL機の改造は、難しい 」と言われていました。

特に、分周比の変更が出来ないタイプのPLLを使ったものとか、
送信時に、PLLからの出力周波数を2逓倍して、CB帯の出力周波数を作っているタイプなど ・・・。

以前に、PLLの基本クロック水晶である 10.240MHzを変更して、
2台ほど無理やり28MHzに改造した事がありました。
今回は、もう少し、まじめに回路構成を検討して見たいと思います。

28MHz 改造の概略について

使われている PLL IC が、分周比の変更が出来ないタイプです。
送信部は、VCOの出力を2逓倍して、出力周波数を作り出しています。
そこで、PLL部分は、そのまま使用して、何とか出来ないか? と考えました。

送信部はOK
送信部については、VCOの出力に、追加OSCの出力を混合すれば、
目的の28MHz周波数が得られます。

受信部は?   
受信時に、VCOが作り出す(1st混合用)周波数が変更できません。
回路変更しなければ、27MHzのCB帯を受信します。

受信周波数の変更について、今回は、1st中間周波数を変更する!!
と言う、方法で解決しました。
考え方は、下にあるイメージ図を参照願います。

28MHz 改造した実機です。
改造対象は、なんちゃん経由で手元に来た、JJ7PJG局さんの物です。

Presidnt Veep とそっくりなんですが、なんかちょっと違うようです。


下記の画像は、ヤフオクで拾った President Veep の画像です。
外見は、そっくりですが、内部の部品配置が、微妙に違っているのが分かりますか。

基板は、まったくの別物のようですね。
回路を見たら、ほぼ同じなので、今回の改造が参考になりますよ。  
 




28MHz化 改造概要
VCO の出力周波数を、RX に固定する。
1st IF の 10.695MHz セラミックフィルターを撤去する。
1st IF の周波数を変更する。
受信部に、2nd MIX 用の 11.490MHz 局発を追加する。
送信部に、11.945MHz 局発を追加して、VCO出力と混合する。




PLL のTX出力 (上記の例では、13.4825MHz) を、使わない理由。
13.4825MHz + 14.7325MHz(追加OSC)=28.215MHz とする事も可能です。
しかし、上記の周波数構成では、出力に、それぞれの2逓倍の成分も含まれる可能性が大です。
PLL TX出力 ⇒ 13.4825MHz×2逓倍 = 26.965MHz

追加  OSC ⇒ 14.7325MHz×2逓倍 = 29.465MHz

合成される周波数の 28.215MHz と、1.25MHzしか差のない周波数は、
共振回路の選択度で、十分に減衰させる事が出来ません。
PLL の RX 出力であれば、2逓倍されても、16.270MHz×2=32.540MHzであり
共振回路の中心周波数から、4MHz 以上の差を得る事が出来ます。

送受信の調整箇所は、下記の通りです。
VCO & MIX を受け持つIC TA7310P の出力には、送信用と受信用の出力コイルが、
それぞれ別に設けられています。
PLLからの出力周波数ですが、受信時の場合は、16MHz台となり、送信時は、13MHz台です。
しかし、送信時は、TA7310P のミキサーで 2逓倍されて、27MHz台の出力周波数となります。
単に、2逓倍しているのかと思ったら、ちゃんとミキサーIC を使っていました。



改造前の画像                改造前の画像   
PLL-IC TC9109P とその周辺         VCO & MIX-IC TA7310P とその周辺

 


改造箇所について、説明して行きます。

( PLL-IC TC9109 について )
PLLの出力は、受信用の出力に固定します。
そのため、PLL-IC の8番ピン( T/R 切り替え入力 )を、Hi 側に固定します。
海外のサイトにある資料では、Lo が受信となっていますが、間違いですから注意して下さい。

画像の青丸印
がついているダイオード D12を取り外します。
このダイオードは、
IC の8番ピンを、PTT ラインに落としています。
PTT スイッチが押されて送信状態になると、PTTラインは、OV に接続されますから
IC の8番ピンがLo になる仕組みです。

これで、PLLは、受信の分周比のみの動作となります。
VCO改造後の出力周波数は、16.270MHz〜になります。
PLL-IC TC9109 の資料( 海外のサイトです。)


( VCOの送受信時の切り替えについて )
切り替え回路を無効にして、VCOコイルの同調周波数を
16MHz台に固定します。

VCOの発振周波数は、受信時16MHz台、送信時13MHz台となります。
VCOの発振コイル周波数を、3MHz分変化させるために、トランジスタスイッチで、
コンデンサーをON-OFFさせています。

画像の青丸印
が付いた抵抗 R73 を取り外します。
この抵抗が、切り替え回路をPTT ラインと接続しています。


( 追加局発について )
画像は、自作した追加用の局発です。
使用したトランジスターは、手持ちの 2SC1815 を使用しました。

同調コイルを使用しない、無調整の発振回路となっています。
テストしたところ、発振周波数が丁度良かったので、調整用のトリマーコンデンサは、
取り付けませんでした。
2個共に、基本的には同じ回路です。

しかし、受信用の2nd Mix に使用した物は、テスト時に不具合が発生して、
あとで、発振ON-OFF用のトランジスタスイッチを取り付けました。


( 受信用 追加局発について )
下記の画像は、受信用の2nd Mix に使う局発です。
最初のテスト時は、局発に電源を供給したままでしたが、2個の局発が近い位置にあるため
送信時に、回り込みがあり、変調に ビート音が入りました。
対策として、送信時に電源OFFにする、トランジスタスイッチを追加しました。

受信時は、PTT ラインに出ている約 8V を 1KΩ の抵抗を通して
ベースに取り込み、トランジスタスイッチがONとなり、局発に 12V が供給されます。
送信時は、PTT ラインが OV に落ちますから、トランジスタスイッチがOFFとなります。

下記画像の黄色の線が、トランジスタスイッチのベースから
1KΩ の抵抗を通してPTT ラインに接続されます。
青色の線は OVへ、茶色の線は 12V電源ラインへ接続されています。

トランジスタスイッチを追加した画像です。  下記は、黄色の線が、1KΩ の抵抗を通して
2SC1815 をつかっています。         PTT ラインに接続されているところ。    
 


受信用局発の OV ラインへの接続画像。    下記の茶色の配線が、2つの追加局発から出て
上側の横に走っている水色の線です。     いる電源線です。 12V ラインへ接続します。
 

( 第一中間周波数用のセラミックフィルター FL1 の除去

受信周波数をシフトさせるのに、中間周波数を変えて対処しました。
第一中間周波数が11.945MHzとなった為、FL1(10.7MHz)セラミックフィルターは、取り外します。
今回は、10PF のセラミックコンデンサで、バイパスしましたが、カット&トライで
最適な値を見つけて下さい。
また、取り外しても、選択度や感度の低下などは、あまり感じませんでした。

( 第一中間周波数コイル RX3〜RX4 について)
中間周波数が、10.965MHzから、11.945MHzになりますから、約1MHz高くなります。
この部分は、コイルコアの調整でカバーできるか心配でしたが、問題なくOKでした。

( VCO & MIX TA7310P について )
TA7310P の3番ピンと4番ピンの間に取り付けてある、セラミックコンデンサ
C75 を取り外します。
下記、改造前の画像で、赤丸印
が付いているコンデンサです。

このコンデンサは、Oscillator Output-Buffered 3番ピンと、Mixer Input 4番ピンを
接続して、送信時のPLL出力周波数同士を混合しています。

送信用の追加局発から出力された 11.945MHzを注入するために、
4番ピン(画像だと、IC の左側から四番目の足)に、局発からの配線を接続します。
これで、送信時に、PLLからの16.270MHz〜出力と、追加局発からの11.945MHzが
ミキサーで混合されて、28.215MHz〜が出力されます。

TA7310P のデータシート その1 ( 海外のサイトです。)      TA7310P のデータシート その2 ( 海外のサイトです。) 

                                        改造後の画像です。
改造前の画像です。                  水色の線が、送信用の追加局発からの出力です。
 

                       水色の配線が、送信用局発の OV です。
画像は、基板裏側になります。                 ダイオードを通してから、PTTラインに接続します。 
赤丸印
に、送信用局発の出力を接続します。  PTT ラインにもダイオードを挿入します。
 


( 第二中間周波数のミキサーについて )

第一中間周波数を変更したので、第二中間周波数を作るための局発周波数を
変えてやらないとダメですね。

改造前の画像で、青丸印
のセラミックコンデンサ C14 が、
となりのPLL局発 10.240MHzから、混合用の信号を分岐して来ています。
この C14 コンデンサを取り外します。
外したコンデンサの取り付け穴、画像では左足側に、
追加局発からの11.490MHz出力を接続します。

変更した、第一中間周波数の11.945MHz−11.490MHz=455kHz
これで、455kHzの第二中間周波数が出来上がります。

                                        改造後の画像です。
改造前の画像です。               水色の線が、受信用の追加局発からの出力です。
 

局発基板を、仮付けテスト中の画像       シャーシ側面に接着しました。
 

( その他の調整&直した箇所について )
ドライバー段に付いている同調コイル L12 ですが、コイルコアの上限(外しても)でも、
同調が取れませんでした。
そのため、コイルに接続されているセラミックコンデンサ C86 100PF を取り外して、
コイルコアで同調が取れるようにしました。

また、ファイナルのベースに取り付けてあった R86 の抵抗ですが、
2.2KΩが付いていたので、100Ωに変更してあります。
今回は、ドライバーTr も交換しましたが、問題が無ければ、何も交換しなくてOKです。


Sメーターとスケルチ調整用サブVR       送信時のRFメーター調整VR
 

まともそうな??ローパスフィルター     オーディオ部分の画像     
 

改造前の基板裏側



( その他、頭を悩ませた現象について )

改造が完了して、送受信共に調整が終盤にさしかかった頃、送信出力が安定しない
と言う現象が発生しました。
ひどい時には、PLL も、ロックしなくなったりしました。
色々と調べて、ミキサーが悪いのか? PLL 自体が逝っちゃった? などなど
ドライバーやファイナルも含めて、隅々まで調べている途中に・・・・・・・・。

な〜んか、香ばしい匂い? じゃなくって、焦げ臭い・・・無線機が発煙しました。
ボリューム兼、電源スイッチより発煙し、触ると火傷するくらいの熱さです。
スイッチ部分が、すごく発熱していました。
不調だった、すべての原因は、電源スイッチの接触不良でした。

直結してみると、メーターの照明も、すごく明るくなり、送信出力も復活。
いや〜っ、単純なところで、いつもやられます。
煙が出なければ、多分ずっと悩んだ挙句に、あきらめたと思います(笑)

( 最後に )

とりあえず、送受信共に、問題なく28MHzで使用できるようになりました。
いまじんさんから、教えてもらった回路図を見ると、Presidnt Veep も、ほぼ同じ回路なので
このELVEX BEEP と同様の改造で28MHzに出来ると思います。

なお、説明において、配線の接続先の画像は、不要かなとも思いましたが、
追試される方の為に、出来るだけ詳しく記載しました。

局発の回路図などは、そのうちにでもUPしますが、ネットで見つけた適当な回路で
動作しますから、ほんとに簡単なもんです。 
28MHz改造用 追加局発の製作

ここまでやっても、特注水晶2個を含めた部品代は、4000円くらいですよ。

CB無線の本家、アメリカの愛好家においては、「 この手のCB機は、改造が出来ない 」ので
手は出すな、という事になっているようです。

かつて、CB無線機の輸出元であった国に住んでいる者としては、
やればできるんじゃ〜 みたいな感じでしょうか(笑)
いつも、アメリカやヨーロッパにあるサイトの資料にばかり、お世話になっているので、
たまに、変わった改造方法をUPしても良いかと。
海外の改造マニアが見てくれるかどうかは、不明ですけどもね。

説明が不備な点や、勘違いして記載している部分などがありましたら、
掲示板かメールで御連絡お願いします。

お役に立ったでしょうか(謎)

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