【周波数変更 & 起動キー無効化 改造方法】
防災行政無線 戸別受信機
日立電子(株) SER-676 60MHz帯 アナログ式
中古で入手したのですが、周波数の変更を行っても、動作しませんでした。
防災無線の受信機を動作させる、起動キーの仕様が違ったようです。
ROMからプログラムを吸い出して解析すれば、ソフト的に直せるはずなのですが、
面倒な事はしたくありません。 また、そんな知識もありません。
今回は、ハード回路の変更で対処します。
改造の概要です。
地元の防災無線 69.450MHzに、周波数を変更します。
起動キーを無効にするため、デコード&制御回路をジャンパーします。
防災無線の電波を受信して、スケルチが開くと、放送が聞こえるように改造します。
※ 実際には、スキャンコントロール出力(放送受信時に出力ON)で、
AFアンプのミュート機能を制御します。
改造の手順です。
① 1st Osc の水晶発振子 を、58.750MHzの物に交換。
② AFアンプ TDA7233 の 電源入力 3pin へ、電源をジャンパーして供給。
③ IFユニット IR3N06 の 9pin から出ているAF出力を、
ボリュームを通してから、AFアンプ TDA7233 の 入力 8pin へ接続。
④ AFアンプ TDA7233 の 2pin を、基板から切り離す。
精密ニッパーなどを使い、IC側に足が残るように慎重に切り離します。
⑤ トランジスタのコレクタを、AFアンプ TDA7233 の ミュート制御 2pin に接続。
⑥ トランジスタのエミッタを、基板のコモン(マイナス)に接続。
⑦ IFユニット IR3N06 の 13pin から出ているスキャンコントロール出力を、
200KΩ抵抗を通してから、トランジスタのベースに接続。
※ トランジスタは、2SC1815GR 又は同等品。
下記は、改造時の画像です。
1st Osc の水晶発振子 を、58.750MHzの物と交換して調整。
トリマーコンデンサの調整範囲外の場合は、コンデンサを追加します。
基板裏側の配線画像です。
1st Osc のトリマーコンデンサに 22pF セラミックコンデンサを追加。
トリマーコンデンサ単体で調整が可能であれば、取り付けは不要です。
赤線 ⇒ AFアンプ TDA7233 の 電源入力 3pin へ、電源をジャンパーして供給。
緑線 ⇒ VRから、AFアンプ TDA7233 の 入力へ接続。
白線 ⇒ VRから、0.047μF~3.3KΩ を通して、IFユニット IR3N06 の AF出力へ接続。
VR上側の端子をコモン(-)に接続。
白線 ⇒ IFユニット IR3N06 の AF出力へ接続。
黒線 ⇒ IFユニット IR3N06 の スキャンコントロール出力へ接続。
黒線 ⇒ 200KΩ抵抗を通してから、トランジスタのベースに接続。
コレクタを、AFアンプ TDA7233 の ミュート制御 2pin に接続。
(TDA7233 の 2pin は、基板から切り離してあります。 )
エミッタを、基板のコモン(マイナス)に接続。
※ 画像で、ICのモールドが欠けていますが、2pin の切り離し時に欠けました。
慎重に作業すれば大丈夫です。
ICP401 と ICP403 は、TDA7233 の2pin 切り離し時に、邪魔だったので
取り外してジャンパーしています。
電流制限用ICなので、特に無くても動作には問題ありません。
RV202 に接続している基板パターンを削って切り離します。
以上で改造は完了です。
山元町の防災無線を受信しながら、スケルチの調整を行いました。
スケルチのかけ具合が浅いと、ノイズを拾った時に、スケルチが開いて
ザッと言うノイズ音が出てしまいます。
放送前の、DTMF音や、コントロールキー音もスピーカーから出てしまいますが、
これでも十分に実用の範囲内だと思います。
防災無線をアナログ式からデジタル式に切り替えた地方自治体では、
使用しなくなった、アナログ式の戸別受信機が多数あると思われます。
受信機本体を無料で入手できれば、改造にかかる費用は、
特注の水晶発振子代 ¥1500 + 部品代(C・R・Trなど)¥100位となります。
上記の記事を参考にして、同機種を改造する場合は、
すべて自己責任にてお願いします。
戸別受信機を製造したメーカーの仕様によっては、
改造が難しい場合も考えられます。
ご連絡を頂ければ、分かる範囲で、改造についてのアドバイスは致します。