前のページに戻る

下にスライドして行って、見てくださいね。

Lauda XL-908 50MHz帯AM 改造  2023.02.01 更新

免許のいらない、微弱無線局に対応した製品と思われます。
周波数は、49.4050MHzで、AM変調となっています。
今でも、たまにヤフオクなんかで見かけますね。
当時、販売していた会社は現存しています。 ⇒ 株式会社ラウダ


50MHz帯で使用できるように、改造します。
改造と言っても、水晶を交換して、コイルコアを調整するだけの簡単な内容です。

  (XL-909)     (XL-908)
かなり小型で、手の平サイズなのが分かると思います。



ボリューム調整のみで、スケルチはありません。
ヘリカルアンテナは、交換が出来ない仕様ですね。



電池ボックスのフタを開けた画像です。
横幅は、006P 9V電池の大きさと比較すると分かるように、コンパクトです。



裏フタを開けた画像です。
パターン切れを、糸ハンダそのもので、ジャンパー修理してありました。



【 内部の説明です。 】
送信部は、2ステージで、ファイナルに振幅変調をかけているようです。
水晶を交換して、スプリアスが許容範囲内であれば、保証認定が通ると思われます。

受信部は、IF 455kHz のシングルスーパーです。
IF段を含めて、Sony CXA1033P と言うAMラジオ用途のIC 1個で完結しています。
受信部のRX-OSCは、水晶の表記をみると、+455kHz で発振させているようです。

2SC3776 ですが、製造ロットによっては、MPSH10 などが使用されています。



下記は、部品の実装面から、基板のパターンを透視して見た形になります。
裏側のパターン画像を、反転させた物となります。
製造ロットによっては、RXの水晶に、周波数補正用と思われるセラミックコンデンサが
2個追加されている基板もあるようです。



【 送信回路の参考資料 】
キャリブレーション様のサイトに掲載してある回路図と
ほぼ同じ回路構成となっているようです。
キャリブレーション 様 ⇒ 50MHz QRPp AM送信機
送信出力を抑える為か、C9(C20)が33μF、R7(R11)が200Ωとなっています。
( )内は、XL-908の部品番号です。


【 使用されている部品の参考資料 】
Sony CXA1033P AMラジオ用IC
CXA1033Pデータシート ⇒ CXA1033P

LM386N-1 AFアンプIC
LM386データシート ⇒ TEXAS INSTRUMENTS LM386

2SC3776 OSC, MIX, RF
2SC3776データシート ⇒ 2SC3776


【 50.620MHz 水晶セット 】
ヤフーオークションで、水晶の送受信セットを入手しました。
即決 1,980円だったので、安く入手出来て良かったです。
(2023.01.18現在、継続出品されています。)
送信が、50.620MHz 受信用が、−455kHz の物です。
TX水晶交換後、50.622MHz で発振したので、1μHのインダクタを取り付けて周波数を下げました。
RX水晶は、コイルコアの調整だけで、実用範囲に合わせる事ができました。



【 50.550MHz サトー電気の水晶 】
サトー電気で販売している水晶の組み合わせで、使用できそうな物があります。
(下記は、2023.01.02 時点の価格です。)
サトー電気 水晶
TX用として 50.550MHz 3rdオーバートーン HC49U ¥242
RX用として 50.100MHz 3rdオーバートーン HC49U ¥608

上記の組み合わせでは、周波数差が 450kHzとなります。
IFが、455kHzなので 5kHzのズレがあります。
下記の対応案を考えて見ました。

【 対応案 1 検証済
TX50.550MHz水晶の周波数を、5kHzUPの 50.555MHzに調整する方法。
ただし、50.550MHzが必須の場合は、NGな方法です。
水晶を交換しただけの状態では、50.552MHzで発振しました。
60pFトリマコンデンサの取り付けと、TX-1コイルコアの調整で、50.555MHzに合わせました。
周波数を可変できる範囲は、個体差があると思われます。
必ず5kHzUP 出来るとは限りませんので、ご了承下さい。
RX50.100MHzは、コイルコアの調整で合わせました。

【 対応案 2 未検証 】
TX・RXの水晶周波数はそのままで、IF周波数を450kHzに変更する方法。
基板にある 455kHzセラミックフィルターを、450kHzの物に交換して、IF を450kHzとして再調整する。
秋月電子通商 ⇒ セラミックフィルタ 450kHz ±3kHz LTM450HU

【 対応案 3 検証済
RX水晶周波数 50.100MHzを、5kHz低い 50.095MHzに調整する方法。
RX水晶に 1.5μHのインダクタを取り付けて、コイルコアを調整して 50.095MHzに合わせました。
TX水晶に 1μH のインダクタを取り付けて、コイルコアを調整して 50.550MHzに合わせました。


【 TSSなどの保証認定申請用の系統図を作ってみました。】
基板のパターンと、部品を見て作成したので、間違いがあるかもしれません。
使用する場合は、その点ご了承下さい。
2SC3776 ですが、製造ロットによっては、MPSH10 などが使用されています。

送信出力は、取り合えず、10mW で記載してあります。
元々が、新電波法に対応した微弱無線局なので、実際の出力は、かなり低いと思われます。

保証認定の申請時に、スペクトラムアナライザで、スプリアスを測定したデータの添付が
必要となる場合があります。



【 スプリアスについて 】
スペアナの画像を見ると、スプリアスが、かなり酷い状況に見えますが、
新スプリアス基準の許容値内に収まっているようです。

下記は、XL-908の BNC端子とスペアナを接続した簡易測定データです。
実際の運用時には、高短縮率で、共振周波数帯域幅が狭いヘリカルアンテナを使用します。
Hi-Q のアンテナがバンドパスフィルターの代わりとなり、放射されるスプリアスは
さらに減衰すると思われます。
【 9kHz〜1GHz 】



送信出力10mWの場合、スプリアスは、基本波の搬送波電力より23dBm以上、低い値であれば良いようです。
何とか、クリアしているようですね。
【 9kHz〜500MHz 】



下記は、「 20171126_新スプリアス JARD.pdf 」 より引用して、数値を入れた物です。

【例1】送信出力10mWの場合、スプリアスは、基本波の搬送波電力より23dBm以上、低い値となります。
【例2】送信出力 5mWの場合、スプリアスは、基本波の搬送波電力より20dBm以上、低い値となります。
【例3】送信出力 1mWの場合、スプリアスは、基本波の搬送波電力より13dBm以上、低い値となります。




【 簡易的な 送信出力の測定 】
アマゾンで販売していた、中華製のRF電力計を購入して見ました。
定格は、RF入力 0.1〜500MHz −75〜+16dBm と言う物です。

電力計と、アッテネーターは、較正していません。
正確ではありませんが、目安にはなるかと思います。
XL-908 に使用する006P電池の消耗度によって、出力が変化しますが、10mW 以下の出力でした。
画像では、9.1dBm なので、8.13mW の出力となります。



【 動作不良になり易い箇所について。 】
PTT-SWと、その取り付け基板が動作不良の原因になっている場合が多いように思われます。
PTT-SWを軽く触ると受信感度が変化したり、送信時の到達距離が極端に短いなどの不具合や、
送信又は、受信のみ動作しない場合などがあるようです。

PTT-SW自体の導通NG ⇒ 同等のスイッチと交換する。
PTT-SW自体の導通OK ⇒ PTT-SWと、親基板間の導通を確認する。⇒ パターン切れの可能性あり。

PTT-SW基板のハンダ付け箇所で、パターンが剥離して、切れている事があります。
画像のように、ホットボンドで親基板に固定してあるだけです。
押すたびに力が掛かる部分なのに、かなり雑な作りとなっています。


PTT-SW基板と、親基板とのハンダ接続部です。
この部分も、パターン切れを起こして、動作不良になりやすいみたいです。
入手した内1台は、この部分からPTT-SWまで、ジャンパー線で接続してありました。


ハンダ部分の反対側も、ホットボンドで固定してあるだけです。

PTT-SWですが、アマゾンで使えそうな物がありました。
(実物入手済み)
品名 ⇒ uxcell PCB タクトスイッチ 非ロック 6ピン DIP 7×7mm
修理で必要な人には、お分けしますのでご連絡願います。

アマゾンで、タクトスイッチが 「10種類パーツBOXに入っている物」 を購入して見ましたが
このスイッチのみ、ロック式(オルタネイト)の動作でした。
使えない事は無いのですが、購入時にご注意下さい。


【 PTT-SW 部の動作説明。 】
ローディングコイル(アンテナ)と、送受信部への切替は、PTT-SWで行っています。
送信回路と受信回路の切替も、PTT-SWで、電源の供給を切り替える事で行っています。



【 BNCコネクターの取り付け。 】
この改造は、オプションとなります。
GPや八木などの外部アンテナを接続する場合には、バンドパスフィルターなどを通すことをお勧めします。


外部アンテナに接続出来るようにしてみました。
このように、BNCコネクターを取り付けます。


裏側の画像です。
内側のワッシャーには、コネクターの廻り止め加工がしてあります。
取り付け時に、あまり強く締め付けると、プラスチックが割れる恐れがあります。
ご注意ください。


左側の穴が、ヘリカルアンテナ用の穴です。
BNCコネクターに対して、穴径が大きすぎたので、
取り付け時に工夫が必要となります。


裏側です。


取り付ける、BNCコネクターの寸法です。
このまま取り付けが出来れば良かったのですが、無線機側の穴径が大きすぎてNGでした。



【 取り付けワッシャーの加工 】
下記、ワッシャーは、ホームセンターで販売されていた物です。
外寸は、ノギスで測ったので、参考程度に見て下さい。

ワッシャーを、下記のように加工して下さい。
左側が、上面に使用するものです。
内側を、少し削れば、コネクターが通ります。
この、左側のワッシャーだけを、2個使用しても取り付けができます。

右側の少し大きなワッシャーは、廻り止め加工をしてあります。
ワッシャー自体の廻り止め ⇒ 外周の一部を、画像のように削り、15.75mmに仕上げます。
BNCコネクターの廻り止め ⇒ 内径も、左右の赤線部分だけを、9.4mmに仕上げます。
ヤスリを使用した手作業の加工だと、面倒かもしれません。
削るのに、リューターがあれば、楽が出来ると思います。



【 BNCコネクターとの接続部。 】
アンテナローディングコイルは、取り外しました。
PTT-SW から、BNCコネクターに接続します。




【 取り外した、ヘリカルアンテナ 】
ヘリカルアンテナは、樹脂製カバーの中に、バネ材をコイル状に巻いた
物が入っていました。
樹脂製のカバーと、BNC-RCAメス の変換コネクターが、丁度良いサイズで合います。
プラスチックの細い棒に、エナメル線などを巻いて、作り直しが出来そうですね。



【 その他、参考画像です。 】
【 画像A 】
バネ材で出来ているヘリカルアンテナは、基板に直接ネジ止めされています。


【 画像B 】
基板全体の画像です。
部品の数は、少なくてシンプルです。


【 画像C 】
PTT-SWの左側に、アンテナローディングコイルがあります。
外部アンテナ接続時は、このコイルをバイパスする必要があります。


【 画像D 】
TX-OSC〜ファイナル付近。


【 画像E 】
マイク〜AFアンプ〜TX-OSC付近。


【 画像F 】
受信回路付近。


【 画像G 】
50MHz帯 水晶交換後の画像。


上記の内容を参考にして、修理、改造、保証認定などを行う場合は、
自己責任にてお願い致します。
記載内容に、間違いがある場合もありますので、ご了承願います。


前のページに戻る