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下にスライドして行って、見てくださいね。


UNICOM UX-10M  28〜29MHz FM   2021.12.12 新規UP


1983年発売無線機MUSEUM参照の無線機ですから、2021年現在 の時点で、発売から 38年以上経過しています。
無線機のサイズですが、現在流通している ポータブル機の FT-818ND と、ほぼ同じ大きさです。
1983年当時としては、かなりコンパクトな無線機だったのだと思われます。

上フタが、厚みのある鉄板で出来ていて、大きさの割りに かなり重さがあります。
フタを、アルミ材などで作り直して軽くすれば、ポータブル電源などと組み合わせて
カバン等に入れての持ち運び運用に良いかもしれません。

周波数の設定は、10KHz と、100KHz のツマミにより行います。
28.000〜29.990MHz まで、送受信出来てしまいます。(取説上では、28.000〜29.700MHzと記載。)
PLL回路は、5個の IC を組み合わせて作られていました。

       (ネット検索で見つけた画像をお借りしています。)



下記は、JF7FTI局 が所有している SPASOR TX-2800 です。
外観と、中の基板は、UX-10Mと全く同じで、名称だけが違います。
輸出仕様の名称なんでしょうか?



取説の表紙です。(ネット検索で見つけた画像をお借りしています。)



定格が分かります。(ネット検索で見つけた画像をお借りしています。)
スプリアス強度が、−60db以下 と記載があるので、新スプリアスもクリア出来ている?



下記の画像を見ると分かりますが、フタが重すぎます。 せっかくコンパクトなのに、重くて台無しです〜。
約1Kg ある重さの4割が、上フタの重さとなります。

      本体の重さ 約400g           上フタの重さ 約400g         下フタ & スピーカーの重さ 約250g
  


基板の画像です。  ( 後付けで、RFパワーコントロール回路を追加してあります。 背面にあるリピーター対応SWも、転用してあります。)



ネット上で検索しても、UX-10M の回路図や系統図がヒットしませんでしたが
参考資料として、下記の物を見つけました。

※1 TC-5082P (12ステージデバイダ)  10.240MHzOSC  リファレンス周波数の 5KHzと、10KHzを、MC14011Bへ出力。
   データシート

※2 MC14011B (Quad 2-Input NAND Gate) TX 5KHzと、RX 10KHzを切替えて、TC5081APへ出力。 N Counter の N切替。
   データシート

※3 TC5081AP (Phase Comparator) TC9122Pからの Pout と、TX 5KHz or RX 10KHzを位相比較して TX-VCOと、RX-VCOに、制御電圧を出力します。
   データシート

※4 TC4560 (NBCD ADDER) 100KHz台 デジタルSWの出力を取り込み、加算処理後にTC9122Pに、Nの数値として出力します。
   データシート

※5 TC9122P (Programmable Counter) ( Divide-by-N counter ) VCO周波数を、設定された N で分周し、TC5081APへ出力します。
   データシート

※6 TC4511BP LED 7セグ表示器の デコーダ&ドライバ
   データシート

※7 IR2E01 LED レベルメータードライバ  Sメーター & RFメーターの表示
   データシート

※8 MC3357P 10.245MHzOSC  2nd-Mix 〜 2nd-IF 〜 FM検波 スケルチ
   データシート

※9 μPC575C 2W出力 AF-Amp
   データシート

基板の裏から光を当て、パターン面を透視した画像です。 部品のつながりが見えますから、かなり分かり易くなります。
( RFパワーコントロール回路の追改造加をしていない、オリジナルの画像となります。)



下記の画像は、パターンを、上から透視したようにする為、画像を反転させた物です。
上の画像で、部品の裏側で隠れているパターン部分は、この画像で確認して、回路の概略を把握します。
パターンをたどり、回路の把握に使用した書き込みのある画像。 ⇒ 表示後に、画面クリックで拡大します。



【 PLL部について 】
PLL回路は、5個の IC を組み合わせて作られていました。
フェーズコンパレーターに接続される リファレンス周波数は、送信時 5KHz, 受信時 10KHz の切替となります。
送信用と、受信用の VCOが、それぞれ独立してあります。


【 PLL 受信時の動作 】
(28.000〜28.990MHz) RX-VCO周波数 17.300〜18.290MHz  N = 1730〜1829
(29.000〜29.990MHz) RX-VCO周波数 18.300〜19.290MHz  N = 1830〜1929
※ Nの値は、RX +100KHz スイッチを使用していない場合となります。

28.000MHz を受信する時、VCOの発振周波数は、17.300MHz です。
28.000 − 17.300 = 10.700MHz ( 1st IF )

2nd Mix用 OSC周波数は、10.245MHz を使用しています。
10.700 − 10.245 = 0.455MHz ( 2nd IF )


【 PLL 送信部の動作 】
(28.000〜28.990MHz) TX-VCO周波数 14.000〜14.495MHz  N = 2800〜2899
(29.000〜29.990MHz) TX-VCO周波数 14.500〜14.995MHz  N = 2900〜2999 (※2)
(※2) 保証認定の申請時には、下記の周波数範囲と Nの数値で申請して下さい。
     TX-VCO周波数 14.000〜14.845MHz  N = 2800〜2969

※ 上記、Nの値は、TX +100KHz スイッチを使用していない場合となります。

送信周波数は、TX-VCOの周波数を 2逓倍して作り出しています。

( 下記の画像では、後付けで、RFパワーコントロール回路を追加してあります。 背面にあるリピーター対応SWも、転用してあります。)


【 受信部の調整 】
受信コイル コアの調整は、RX1 〜 RX2 の順番で、Sメーターの振れが最大になるように調整します。
RX3 は、IC-MC3357P クワドラチャ検波(FM検波)用のコイルです。
ナロー化済みの弱い信号を受信しながら、音声が、はっきりと聞こえるように調整します。


【 送信部の調整 】
送信コイル コアの調整は、TX1 〜 TX4 の順番で調整します。
可能であれば、スペアナなどの測定器で見ながら調整して下さい。
※ TX1コイルは、VCO周波数を 2逓倍しています。

変調が浅い場合などの改善は、マイク入力直後にある、電解コンデンサ(カップリングコンデンサ)の
容量を大きくする等で対応します。

IDCやリミッターの後にある、FM変調 占有帯域幅 調整VRは、むやみに廻さないことをお勧めします。
±5KHz の規定値に、占有帯域幅を調整しているVRなので、動かすと設定値から外れてしまいます。
調整に失敗すると、ガバガバのワイドに設定してしまう可能性もあります。

占有帯域幅の調整は、マイク入力からTGで規定の信号を入力して、スペアナ等で帯域幅を
確認しながらの調整となります。


【 送受信周波数の微調整 】
リファレンスOSC 10.240MHz を トリマコンデンサで調整します。


【 送信機 系統図 & PLL系統図 】
PLL部の10KHz 100KHz チャンネル選択回路や、リピーターSW、送受信時のリファレンス周波数の切替など
記載しなくても問題ない部分は、省略してあります。

※ UNICOM UX-10M は、JARD の、スプリアス確認保証可能機材リストに記載がありません。




【 PLL回路の概略について 】
基板のパターンを見て書き出していますので、参考程度にご覧ください。 7セグ表示器は除いています。
(2021.12.17) 分かり易いように、一部手直しして再UPしました。



【 スプリアス簡易測定のデータ 】
(9KHz〜1GHz VBW 10KHz)
300MHz台まで、スプリアスの飛び出しがありますね。




(9KHz〜1GHz VBW 5KHz)
カットオフ 30MHz台のローパスフィルターを通してみました。
高い周波数の飛び出しは、きれいに消えています。




(10MHz〜55MHz VBW 1KHz)
スプリアスが出ている周波数帯域を測定

何とか、新スプリアス基準に対応出来ているようです。




下記は、「 20171126_新スプリアス JARD.pdf 」より引用し作成しています。
送信出力が 10Wの場合、スプリアスは、基本波の搬送波電力より 53dBm以上 低い値であれば良いようです。




【 RFパワーコントロール回路の追加 】
後付けした、RFパワーコントロール回路の詳細です。 リピーターSWの配線は、取り外して絶縁処理しておけばOKです。
ヒートシンクの取り付けネジを、長い物に交換して、2SD880 を絶縁処理(絶縁ブッシュ+放熱シート)して共締めします。

コレクタとベース間にあるのは、パワー調整用の 10KΩ半固定抵抗です。
後ろのスライドSWで、フルパワーと、パワーコントロールを切り替え出来るようにしてあります。

下記の画像では、詳細が分からないと言う場合は、掲示板からご連絡頂ければ、説明の画像をUPします。

 


基板のパターンから、回路を把握した為、記載内容に、間違いがある場合もあります。
参考程度に見て頂けましたら幸いです。
また、このページを参考にして、改造や調整する際は、自己責任にてお願い致します。

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